再生管財人は、東京地方裁判所に対して、再生計画案の提出期限の伸長を申し立て、2019年10月25日、同裁判所により再生計画案の提出期限を2019年10月28日から2020年3月31日に変更する旨の決定がなされたとのことです。
詳細につきましては、再生管財人が公開する情報をご覧ください。
クリックして20190425_announcement_ja.pdfにアクセス
再生管財人は、東京地方裁判所に対して、再生計画案の提出期限の伸長を申し立て、2019年10月25日、同裁判所により再生計画案の提出期限を2019年10月28日から2020年3月31日に変更する旨の決定がなされたとのことです。
詳細につきましては、再生管財人が公開する情報をご覧ください。
クリックして20190425_announcement_ja.pdfにアクセス
再生管財人は、東京地方裁判所に対して、再生計画案の提出期限の伸長を申し立て、2019年4月24日、同裁判所により再生計画案の提出期限を2019年4月26日から2019年10月28日に変更する旨の決定がなされたとのことです。
詳細につきましては、以下をご確認ください。
和文:https://www.mtgox.com/img/pdf/20190425_announcement_ja.pdf
英文:https://www.mtgox.com/img/pdf/20190425_announcement_en.pdf
2019年1月23日に、東京地方裁判所は、再生債権認否書の提出期限等の変更を決定しました。再生管財人によれば、多数の再生債権届出書が届き、届出書の不備補正及び認容作業等に時間を要しているため、提出期限等の変更に至ったとのことです。
提出期限等の変更の詳細は、次のとおりです。
1. 取引所関係再生債権
(1) 認否書の提出期限:2019年1月24日 → 2019年3月15日
(2) 再生債権の一般調査期間:2019年1月31日から2019年3月22日まで → 2019年3月22日から2019年3月29日まで
2. 取引所関係再生債権以外の再生債権
(1) 認否書の提出期限:2019年1月24日(※変更なし)
(2) 再生債権の一般調査期間:2019年1月31日から2019年2月7日まで(※変更なし)
3. 再生計画案の提出期限:2019年2月14日 → 2019年4月26日
詳細につきましては、以下をご確認ください。
和文:https://www.mtgox.com/img/pdf/20190124_announcement_ja.pdf
英文:https://www.mtgox.com/img/pdf/20190124_announcement_en.pdf
2018年9月26日に、民事再生手続における財産状況報告集会が開催されました。
債権者と再生管財人との質疑応答について、概ね以下のとおりであったことをご参考までにご報告します。
Q1-1: Mt Goxの海外資産について、把握しているか。
A1-1: 海外資産については、把握していない。
Q1-2: BTC消失に関して、米国司法省の情報は得ているか。
A1-2: ネット情報以上については情報は得てない。
Q1-3: オフラインでの債権届出について、ステイタスはどのように確認できるか。
A1-3: メールで受領した旨の返信を行う予定である。しかし、現在、大量に書面が届いているため、今後、体制を整え、スピーディーに対応できるようにしたい。
Q1-4: BTC債権者は、BTC又は金銭のどちらで弁済を受けられるか。
A1-4: 計画案の内容であり、BTCでの弁済を債権者が望むのであれば検討する。オンライン届出に際してアンケートを実施しているので、債権者の意向をふまえて検討したい。
BTC弁済については、①BTCを保有し続けることによる暴落リスク、②セキュリティーの問題、③仮想通貨取引所経由での弁済の場合、債権者に当該取引所のユーザーになってもらう必要がある、などの問題点がある。
Q2 : 破産手続では、会社名義で債権の届出をしていたが、個人アカウントであることが判明したので、再生手続では、個人名義で債権の届出したいが、問題はあるか。
A2 : 個別の問題であるので、集会の席上では判断できない。一般論として、Mt Goxが保有している顧客情報をもとに債権の認否するので、債権者であることが証明できれば認めることになる。
Q3 : 暫定的な弁済は可能ではないか。
A3 : 再生債権の確定をしないといけない。計画案の中で、暫定的な弁済を規定すれば、可能であるが、今後の再生債権の確定状況をふまえて、検討したい。
Q4-1: 弁済のセキュリティー問題については、クラーケンの支援を得られないか。
A4-1: 破産手続においてクラーケンの協力は得ていたので、再生手続でも協力を得たいとは考えている。他方で、取引所がクラーケンだけでよいのかといった問題や、債権者の居住地域の問題、取引所のユーザーとなる債権者側の問題もある。
Q4-2: 計画案に関する議決権の行使方法は、どのような方法か。
A4-2: 今後の検討課題である。可決要件があるので、法律の範囲内で、できるだけ多くの債権者が投票できるような方法を検討したい。
Q5-1: 市場へ影響がない方法で、BTCを売却していたとのことだが、取引所はどこか。
A5-1: セキュリティーの問題があるので、どの取引所かは開示を控える。
Q5-2: 今後、BTCは売却しないか。
A5-2: 今後、BTCで弁済するかどうかという弁済方法の点とも関連する。長期間の保有による暴落リスク等もあるので、裁判所・調査委員と協議して検討したい。
Q6-1: Mt Goxが取引所を再建し事業を再開する可能性はあるか。
A6-1: Mt Goxが事業を再開することは考えていない。
Q6-2: クラーケンを含めどこかの取引所からアドバイスを得ているのか。
A6-2: セキュリティーの問題があるので、具体名の開示は控える。
Q7-1: 破産手続や再生手続において、債権届出をしていない債権者も弁済の対象となるか。
A7-1: 民事再生法上、自認債権という制度があるため、Mt Goxが把握している顧客は、債権者が届出をしなくても、弁済の対象になる。
Q7-2: 再生計画案に対して意見を述べる機会はあるか。
A7-2: 意見は聞く。
Q7-3: 貸借対照表によると「現金及び預金」として、「約697億円」が計上されているが、158億円の信託財産も含まれているか。
A7-3: 信託財産も含まれている。
Q8-1: 125条報告書の2頁目によると、「…再生債務者に属するBTCから分裂した ものに関しては、再生債務者に属すると考えている。」と記載されているが、株主に配当するという趣旨か。
A8-1: 再生債務者に属する財産であり、債権者への弁済原資となる。
Q8-2: 同様に、「…財産目録及び貸借対照表には、再生債務者の保有するBTC及びBTCから分裂した仮想通貨は記載していない。」と記載されているが、記載すべきではないか。
A8-2: 表の記載方法の問題であり、記載方法は検討する。
Q9-1: 信託を設定した趣旨は、金銭債権者の利益を優先的に確保するためか。
A9-1: 金銭債権者の利益を確保しなければ、金銭債権者は、民事再生手続より破産手続の方が有利な結果となる。そうすると、民事再生手続を開始したことに疑義が生じてしまうため、金銭債権者の利益の確保は必要となる。
Q9-2: 要望であるが、管財人は、BTCを売却しないで欲しい。暴落リスクもあるが、BTCの価値が上昇する可能性もある。
A9-2: 要望については承知したが、BTCを早期に売却すべきという債権者の意向もある。
財産状況報告集会の最後に、再生管財人より、BTCを早く売却すべきか、BTCを保有し続けBTCで弁済を行うべきかどうかの質問がなされました。多くの債権者は、BTCを保有し続けBTCでの弁済を希望していました。
次回の財産状況報告集会は、2019年3月20日です。なお、再生計画案の賛否の投票を行う集会ではありません。
以上
我々が現在検討している再生計画案の基本方針は、2018年8月1日時点で以下のとおりです。前回の案に対しては、多くの債権者(Andy Pag氏によって主催されるMtGoxLegal等)の方の様々な意見を頂いており、それを踏まえて改訂したものです。主な変更点は赤字で表示しています。
我々が作成した再生計画案は、現時点の案にすぎません。この再生計画案の基本方針について、債権者の皆様のご意見を伺った上で改訂し、できる限り債権者の意向を反映した再生計画案を作成したいと考えております。
皆様のご意見については、メールアドレス(mtgoxforcreditors@gmail.com)へのメールの送信、手紙のいずれの方法によっても受け付けております。皆様のご意見をお待ちしております。なお、債権者の方であることを確認するために、氏名や届出番号を記載して頂けると幸いです。
【再生計画案の基本方針】
我々は、裁判所に対し、再生手続における標準スケジュールどおり手続を進行するよう求めておりました。しかし、再生手続開始決定では、再生計画案の提出期限が2019年2月14日と定められ、標準スケジュールよりも数ヶ月後ろ倒しになっています。
再生手続のスケジュールをこれ以上遅らせることなく第1回弁済を出来る限り早く実施するためには、再生計画案はシンプルなものにすべきであると考えています。再生計画案が複雑なものになると、関係者の利害調整が必要となり、再生計画案の可決が遅くなることが懸念されます。また、複雑な再生計画案は理解するのが難しく、多くの債権者にとってfriendlyではありません。我々としては、再生計画案を可能な限りシンプルなものとして、再生計画案を早期に可決し、債権者に対して可能な限り最速で弁済することが重要であると考えます。
そして、債権者に対する弁済を確実にするために、再生計画案は、日本における再生手続のプラクティスを踏まえた、履行確実性が高い現実的な内容であるべきと考えます。
Mt.Goxは、債権者が預託していたBTCを全て返還できない状態にあります。したがって、Mt.Goxの全財産は、債権者に対して分配されるべきものであり、株主に対して分配されるべきでないと考えています。
Mt.GoxにBTCを預託していた債権者(BTC債権者)に対しては、原則として、現金ではなく、BTCとBCHで弁済することが適切と考えます。
なぜなら、BTC債権者に対しては、BTC等により弁済することが、最も簡単で効率的であり、銀行手数料などの取引コストについて最小化できるからです(これが正にBTCのメリットです。)。
また、現金で弁済するとなると、大量のBTC等を換金する必要が生じますが、売却はBTC等の価格の下落につながりまし、BTC等の価格の変動は激しいため、売却するタイミングが難しいという問題があります。
そして、BTC等の送付先としては、取引所の口座が望ましいと考えます。この取引所は多くのBTC債権者が口座を持つ取引所、またはBTC債権者が口座を開設することが容易な取引所であるべきです。
また、Mt.GoxにはBTCの換価等によって相当額の現預金が存在するところ、金銭債権者に対する弁済後に残存する現預金については、改めてBTCに換価することなく現金のまま弁済すべきであると考えています。この際、BTC債権者に対する当該弁済金の送金先としては、取引所の口座を指定できることが望ましいと考えています。
さらに、アルトコインについては、取扱う取引所が限定されているため、BTC債権者に対してアルトコインそのもので弁済すること現実的ではなく、現金に換価して、債権者への配当の原資とすべきと考えます。もっとも、Mt.Goxの管財人が管理する全種類のアルトコインを取り扱う取引所が存在しない上、管財人によるアルトコインの売却は価格の暴落を引き起こす可能性があり、また、アルトコインを移動させる場合にはセキュリティ上の問題もあります。したがって、管財人が、アルトコインについては、価格暴落やセキュリティに配慮した方法により慎重に処分をすべきであると考えています。
4. 金銭債権者に対する保護
破産手続であったならば金銭債権者が受けることができた配当額については、これを金銭債権者に弁済することを認めます。具体的には、金銭債権者には100%弁済することを認めることになります(但し、破産手続において認められた範囲に限ります)。これにより、BTC債権者にとってはMt.Goxの配当可能な資産からの分配額が減少することになりますが、調査委員が作成した調査報告書に、民事再生手続きを開始する前提条件として、破産手続における金銭債権者が得られた利益を保護することが求められていることから、このような規定を設けるものです。
なお、金銭債権者に対する現金による弁済についても、送金先として、銀行口座のみならず取引所の口座を指定できることが望ましいと考えています。
債権者は、Mt.Goxの破たんから、もう4年もの間、弁済を待っています。債権者に対する弁済はなるべく早急になされるべきであることは言うまでもありません。
第1回弁済時に、現在Mt.Goxが保有している約16万6000BTCのビットコイン及び16万8000BCHのビットコイン・キャッシュ(その他の派生物を含む)をはじめとする資産の大部分を債権者に弁済すべきであると考えています。
第1回弁済時には、債権の存否が争われている債権があることから、その債権の金額について決着がつくまで、一定の財産をMt.Goxに保留せざるを得ないことも想定されます。そのような場合には、その財産は追加弁済として債権者に弁済すべきと考えます。
逆にいうと、全ての資産・債務が確定するまで弁済を留保するのではなく、まず、Mt.Goxの手元にある財産の大部分を債権者になるべく早く第1回弁済として弁済し、未確定のものは追加弁済とすることで、早期の弁済を実現すべきであると考えます。
また、追加弁済についても、未確定の資産・負債が全て確定してから追加弁済を行うのではなく、未確定の資産・負債を第三者に譲渡して金額を確定するといったような、追加弁済を早期に実行するためのスキームも検討すべきであると考えます。
さらに、消失したBTCの調査・回復については現在も多くの債権者の関心事であり、真相の解明及び財団の増殖による債権者への弁済の極大化を図るため、財団の費用負担において追加調査を行うべきであると考えます。
Mt.Goxにスポンサーを募らなければならないという意見があるようです。しかし、Mt.Goxの事業は既に停止しており、信用を補完し事業を継続するためにスポンサーが必要であるといった状況ではありません。日本の再生手続においては、確かにスポンサーを選任することが一般的であるにせよ、これは必須ではなく、我々としては、スポンサーがいなくても、債権者の皆様の賛成による可決と裁判所による認可決定により再生計画は成立するものと考えております。また、スポンサーの募集をする場合には、それなりの時間がかかりますし、スポンサー候補者が複数出た場合に委任状勧誘合戦が生じるようなこともあり得ます。そうなると、債権者に対する早期弁済という、我々が最も重視している目的への障害となる可能性もあります。スポンサーの募集を必ずしも否定するものではありませんが、スポンサーの募集は、債権者にとってメリットがあり、早期弁済に支障にならないことが明らかな場合を除き、行うべきでないと考えます。
債権者にとっては、再生計画案への賛否等の前提として、自己の取引履歴等へのアクセスが可能になることが不可欠となります。管財人に対しては、取引履歴等の取得が可能になるようなシステム導入等の措置を講じるよう求めていきたいと考えております。
我々が現在検討している再生計画案の基本方針は以下のとおりです。この基本方針は、現時点(2018年6月29日)の案にすぎません。この基本方針について、債権者の皆様のご意見を伺った上で改訂し、できる限り債権者の意向を反映した再生計画案を作成したいと考えております。
皆様のご意見については、メールアドレス(mtgoxforcreditors アットマーク gmail.com)(アットマークは、@へ変換してください)へのメールの送信、手紙のいずれの方法によっても受け付けております。皆様のご意見をお待ちしております。なお、債権者の方であることを確認するために、氏名や届出番号を記載して頂けると幸いです。本投稿には一番下にコメント欄も設けております。
【再生計画案の基本方針】
【基本方針の考え方】
1.再生計画案はシンプルかつ履行確実性が高いものにする。
我々は、裁判所に対し、再生手続における標準スケジュールどおり手続を進行するよう求めておりました。しかし、再生手続開始決定では、再生計画案の提出期限が2019年2月14日と定められ、標準スケジュールよりも数ヶ月後ろ倒しになっています。
再生手続のスケジュールをこれ以上遅らせることなく第1回弁済を出来る限り早く実施するためには、再生計画案はシンプルなものにすべきであると考えています。再生計画案が複雑なものになると、関係者の利害調整が必要となり、再生計画案の可決が遅くなることが懸念されます。また、複雑な再生計画案は理解するのが難しく、多くの債権者にとってfriendlyではありません。我々としては、再生計画案を可能な限りシンプルなものとして、再生計画案を早期に可決し、債権者に対して可能な限り最速で弁済することが重要であると考えます。
そして、債権者に対する弁済を確実にするために、再生計画案は、日本における再生手続のプラクティスを踏まえた、履行確実性が高い現実的な内容であるべきと考えます。
2.株主に対する分配は行わない。
Mt.Goxは、債権者が預託していたBTCを全て返還できない状態にあります。したがって、Mt.Goxの全財産は、債権者に対して分配されるべきものであり、株主に対して分配されるべきでないと考えています。
3.BTCに対してはBTCとその派生物(BCH)により弁済する。
Mt.GoxにBTCを預託していた債権者(BTC債権者)に対しては、現金ではなく、BTCとその派生物(BCH等)で弁済することが適切と考えます。
なぜなら、BTC債権者に対しては、BTC等により弁済することが、最も簡単で効率的であり、銀行手数料などの取引コストについて最小化できるからです(これが正にBTCの良いところです。)。また、現金で弁済するとなると、大量のBTC等を換金する必要が生じますが、売却はBTC等の価格の下落につながりまし、BTC等の価格の変動は激しいため、売却するタイミングが難しいという問題があります。
もっとも、この点については、管財人が、セキュリティ上の問題から、現金による弁済の方が適切であるとか、送付時にハッキングされないようにするためには現金による弁済をすべきであると考える可能性があります。
我々としては、BTC等による弁済が望ましいと考えていますが、現金であっても経済的には同価値といえますので(BTC等の価格変動が大きいことが問題を生じさせますが)、現金による弁済が絶対的に受け入れられないものではないとは考えています。
4.金銭債権者に対する保護
破産手続であったならば金銭債権者が受けることができた配当額については、これを金銭債権者に弁済することを認めます。具体的には、金銭債権者には100%弁済することを認めることになります(但し、破産手続において認められた範囲に限ります)。これにより、BTC債権者にとってはMt.Goxの配当可能な資産からの分配額が減少することになりますが、調査委員が作成した調査報告書に、民事再生手続きを開始する前提条件として、破産手続における金銭債権者が得られた利益を保護することが求められていることから、このような規定を設けるものです。
5.債権者に対する第1回弁済は、再生計画認可決定確定後(再生手続開始決定記載のスケジュールどおり進めば2019年5~6月頃)、速やかに行う。
債権者は、Mt.Goxの破たんから、もう4年もの間、弁済を待っています。債権者に対する弁済はなるべく早急になされるべきであることは言うまでもありません。
第1回弁済時に、現在Mt.Goxが保有している約16万6000BTCのビットコイン及び16万8000BCHのビットコイン・キャッシュ(もしあるのであればその他の派生物)をはじめとする資産の大部分を債権者に弁済すべきであると考えています。
6.残余財産が生じる場合に追加配当を行う。
第1回弁済時には、債権の存否が争われている債権があることから、その債権の金額について決着がつくまで、一定の財産をMt.Goxに保留せざるを得ないことも想定されます。そのような場合には、その財産は追加弁済として債権者に弁済すべきと考えます。
逆にいうと、全ての資産・債務が確定するまで弁済を留保するのではなく、まず、Mt.Goxの手元にある財産の大部分を債権者になるべく早く第1回弁済として弁済し、未確定のものは追加弁済とすることで、早期の弁済を実現すべきであると考えます。
また、追加弁済についても、未確定の資産・負債が全て確定してから追加弁済を行うのではなく、未確定の資産・負債を第三者に譲渡して金額を確定するといったような、追加弁済を早期に実行するためのスキームも検討すべきであると考えます。
7.スポンサーの選定は、債権者にとってメリットがあることが明らかな場合を除き、原則として行わない。
Mt.Goxにスポンサーを募らなければならないという意見があるようです。しかし、Mt.Goxの事業は既に停止しており、信用を補完し事業を継続するためにスポンサーが必要であるといった状況ではありません。日本の再生手続においては、確かにスポンサーを選任することが一般的であるにせよ、これは必須ではなく、我々としては、スポンサーがいなくとも債権者の皆様による可決と裁判所による認可決定により再生計画は成立するものと考えております。また、スポンサーの募集をする場合には、それなりの時間がかかりますし、スポンサー候補者が複数出た場合に委任状勧誘合戦が生じるようなこともあり得ます。そうなると、債権者に対する早期弁済という、我々が最も重視している目的への障害となる可能性もあります。スポンサーの募集を必ずしも否定するものではありませんが、スポンサーの募集は、債権者にとってメリットがあり、早期弁済に支障にならないことが明らかな場合を除き、行うべきでないと考えます。
1.再生計画案とは
再生計画案とは、再生債権者の皆様への弁済額・弁済方法を定めるとともに再生債権者の権利の全部または一部を変更する条項等を定めるものです。再生計画案が債権者の多数の同意を得て可決され、裁判所の認可決定を受けて確定することで効力が生じます。再生計画案の可決には、①議決権の総額の1/2以上(議決権数要件)、②集会への出席又は書面投票を行った議決権者の過半数(頭数要件)の両方を充たす必要があります。
したがって、再生計画案の内容如何によって、債権者の皆様がいつ、どうやって、どれほどの弁済が受けられるのかが決まることになりますが、再生計画案の内容を実現するためには債権者の皆様にご賛同いただく必要があります。
2.本再生計画案作成の目的
我々は、再生手続において、債権者の意向を反映した再生計画が作成・遂行されるべきであると考えております。もっとも、本件では、債権者は少なくとも2万5000人以上にものぼり、債権者の皆様それぞれの考え方は異なりうるため、再生計画案が、債権者全員の要望を100%満たすことは現実的ではなく、債権者の意見の最大公約数的な内容とならざるを得ません。しかし、我々は、基本的な部分については、債権者の意見は一致すると考えています。
再生計画案は、一義的には、管財人が作成するものであるため、我々としては、まずは、債権者にとって望ましいと考えられる再生計画案について、管財人への提案を行っていく所存です。なお、再生計画案を確実・迅速に実現するためには、日本における再生手続の法律・プラクティスを踏まえた上で作成される必要があります。
また、管財人が、債権者が受け入れられない内容の再生計画案を作成することも考えられます。その場合には、日本の民事再生法上、債権者が、対抗的に債権者作成の再生計画案を提出することが可能です。その場合、管財人作成の再生計画案と債権者が提出した再生計画案のどちらを採用するかについては、裁判所の審査を経た上で、債権者集会において債権者の多数決によって決められることとなります。
再生計画案は、最終的には、債権者集会における多数決によって決められるものであり、その決定権は債権者に委ねられています。我々のスタンスは、債権者集会に提出される再生計画案に、できる限り債権者の意向を反映したものが提出されるようにすることで、債権者の利益を守ることを考えています。したがって、我々が本ウェブサイトで公開する「再生計画案の基本方針」で提案する再生計画案の骨子について、債権者の皆様が拘束されるものではなく、最終的判断は、債権者集会の投票という形で債権者の皆様に委ねられています。
我々としては、日本における再生手続のプラクティスを踏まえた上で、債権者の皆様のご意向をできる限り取りこんだ再生計画案が債権者集会に提出されるように取り組んでいきます。そして、その活動の一環として管財人との交渉も行っていくことを考えています。
Mt.Gox の民事再生手続の進行について、今後の予定スケジュールは以下のとおりです。
① 財産状況報告集会・125条報告書の提出期限 平成30年9月26日
② 再生債権の届出期限 平成30年10月22日
③ 財産評定書の提出期限 平成30年12月27日
④ 認否書の提出期限 平成31年1月24日
⑤ 再生債権の一般調査期間 平成31年1月31日 ~同年2月7日
⑥ 再生計画案の提出期限 平成31年2月14日
本日(2018年6月22日)、Mt.Goxについて東京地方裁判所は再生手続の開始決定を発令しました。このことは、Mt.Goxの破産管財人のウェブサイトにも掲載されています。https://www.mtgox.com/
これにより、破産手続ではMt.Goxの株主に分配されることになっていた多額の資産が、債権者の皆様に還元されることになります。これは、債権者の皆様の勝利といえます。
もっとも、この勝利は、まだ実現しているものではありません。債権者の皆様の勝利は、Mt.Goxからの弁済がなされ手元に届いた時に、本当に訪れることになります。
そのためには、再生手続において、債権者の皆様の権利を確実かつ迅速に実現するための再生計画案が策定され、これが債権者集会において可決され、裁判所によって認可される必要があります。
現在、我々が考えている再生計画案の骨子について、近々、「再生計画案の骨子」という記事を掲載する予定ですので、ご覧ください。再生計画案の骨子に対する債権者の皆様のご意見は、「再生計画案の骨子」の記事のコメント欄への記述、メールアドレスへのメールの送信、手紙のいずれの方法によっても受け付ける予定です。もっとも、再生計画案は、一義的には再生手続における管財人が作成するものであり、管財人作成の再生計画案に、債権者の意見がそのまま反映されるものではありません。また、我々が作成した再生計画案は、現時点の案にすぎませんので、債権者の皆様の意見を伺い、できる限り債権者の意向を反映した計画案にしていくことを想定しています。
2018年4月13日、当職らは、東京地方裁判所に対し、速やかに破産手続から再生手続に移行するよう改めて上申いたしました。
当職らは、2018年3月28日にも東京地方裁判所に対し上申書を提出しておりますが(詳細は2018年3月28日に投稿した「裁判所に対する上申書の提出」をご覧ください。)、未だに再生手続開始決定がなされておりません。そこで、当職らは、ビットコイン債権者から、再生手続への移行に関する意向を記載したレターを頂き、その結果を上申書に記載し、裁判所にビットコイン債権者の意向を報告いたしました。
現時点で、約200名の債権者(保有BTC数、約105,000BTC)からレターを頂いております。
再生手続への移行について同意を表明してくださったビットコイン債権者の方々には、深く感謝申し上げます。
今後も、当職らは再生手続への移行に向けて邁進する所存ですので、皆様からのご理解・ご協力を賜りたく、何卒宜しくお願い申し上げます。
西村あさひ法律事務所
弁護士 福岡真之介
弁護士 菅野 百合
2018年3月28日、当職らは、東京地方裁判所に対し、速やかに再生手続開始決定を出し、破産手続から再生手続へ移行するように強く要望する上申書を提出いたしましたのでご報告します。
調査委員による調査報告書が提出されてから既に1ヶ月程が経過したにもかかわらず、未だに再生手続開始決定が出されないことは、あまりにも時間がかかりすぎているといわざるを得ません。調査報告書においては、再生手続開始決定するのが相当であるとの意見が述べられていますが、かかる意見は「利益を確保する措置」を講じることを前提とするとされています。しかし、未だ、破産管財人は、この措置を取るのか否かについてすら債権者に知らせておらず、また、再生手続開始の判断は裁判所がするものであり、破産管財人が回答できる立場にないとの見解を示しています。
このような状況を打破すべく、当職らは、裁判所に対して、再生手続開始決定を出すように上申書を提出した次第です。
引き続き、皆様からのご理解・ご協力を賜りたく、何卒宜しくお願い申し上げます。
先日お知らせしましたとおり、2018年3月7日に、MTGOXの債権者集会が開催されました(当日の配付資料は、下記の破産管財人のホームページで公開されています。)。
https://www.mtgox.com/img/pdf/20180307_report.pdf
1 破産管財人からの報告について
詳細は上記のホームページのとおりですが、特に注目すべき点は、2017年12月から2018年2月にかけて、約35,000BTC及び約35,000BCCの売却をおこない、400億円以上の金銭を確保したとのことです。
2 質疑応答について
複数の債権者より、是非、民事再生手続に移行して欲しいとの発言がありました。
質疑応答の概要は、以下のとおりです。
Q1 調査報告書に記載されている「全債権者(とくに金銭債権者)」とは誰を指しているのか、「破産手続においてすでに得られていると見込まれる利益」とは何か、「利益を確保する措置」とは何か。
A1 調査報告書は調査委員が作成しているものであり、内容については、回答できない。今後については、裁判所と協議して、検討する。
Q2 調査報告書に記載されている「利益を確保する措置」の具体的なプランは考えているか。破産管財人として民事再生手続の開始に向けて努力する意思はあるか。債権者として考えているプランを提案したい。
A2 「利益を確保する措置」については、裁判所と協議して検討する。調査委員の問題意識は理解した。債権者の提案は聞く準備はある。
Q3 「利益を確保する措置」の内容が決まったら、事前に債権者に説明する機会はあるか。大口債権者として意見はいえるか。
A3 方針が決まれば債権者に通知する。債権者の意見は聞くので、書面で送って欲しい。
Q4 BTC・BCCの売却時期はいつで、売却手法は何か。BTCとBCCの売却個数の差は何か。BTC消失経緯について米国司法省からの情報はあるか。
A4 2017年12月から2018年2月にかけて、仮想通貨交換業者を通じて、時価で売却した。売却個数の差は、売却をやめたタイミングの問題であり、何らかの意図があるわけではない。米国司法省からの情報は特段得られていない。
Q5 コインラボの査定の状況はどうか。役員責任の追及は誰を想定しているのか。
A5 コインラボについて、具体的な和解を検討しているわけではないが、今後の進行により、和解を検討する可能性はある。
役員責任の追及はカルプレスを想定していたが、既に破産しているため、責任追及の必要性はあまりないものと考えている。
Q6 十分なキャッシュがあるにもかかわらず、なぜ債権者に配当しないのか。
A6 キャッシュは、BTC等の売却により最近確保できた。配当については、BTC債権者の債権額評価の問題もあり、配当手続を進めることが、BTC債権者にとって望ましいかどうか難しい問題がある。
Q7 株主に残余財産が分配されることは正義に反するが、なぜ、破産管財人として民事再生手続を進めることをしないのか。
A7 従来の説明で誤解を与えたのであれば申し訳ない。民事再生手続に移行することに反対しているわけではない。調査委員の問題意識は理解するが、民事再生手続を開始するかどうかは、裁判所の判断である。
Q8 破産手続を進めるのが遅いのではないか。破産管財人の怠慢ではないか。
A8 BTC等の売却により、最近になり、400億円以上の金銭を確保した。配当については、BTC債権者の債権額評価の問題もあり、配当手続を進めることが、BTC債権者にとって望ましいかどうか難しい問題がある。
Q9 BTC等の売却は初めて聞いた。なぜ、BTCの市場価格が暴落しているタイミングで売却したのか。急いで売却しないといけない理由は何か。BTC等の売却は、調査委員の指摘している、「利益を確保する措置」の一環か。
A9 破産手続の当初より、どこかのタイミングでBTC等の売却を行うと伝えていた。売却時期については、裁判所と協議の上、決定した。債権者の中には、早期にBTC等の売却を行うべきであるとの意見もある。多額の金銭を確保できたことで、債権者の「利益を確保する措置」をとれる可能性が高まったと理解している。
以 上
2018年2月28日、調査委員による調査報告書が提出されましたが、調査結果は、本件は、条件付で再生手続開始決定の要件を満たしているとするものでした。その条件の具体的内容については明らかではありませんが、条件を満たす必要があることから、再生手続開始決定がなされるまでには一定の時間がかかると考えられます。
MTGOXの債権者集会は2018年3月7日に開催される予定になっていますので、当職らも債権者集会に出席して、現在の破産手続の状況について把握する所存です。集会の内容については、ご報告する記事をお知らせする予定です。
調査委員は、2018年2月28日、東京地方裁判所に対し、MTGOXの再生手続開始についての調査報告書を提出しました。調査報告書に記載された調査結果(結論)は次のとおりです。
「当職は、破産者株式会社MTGOXについて、民事再生法25条2号ないし4号に掲げる事由はないと思料する。ただし、この結論は、同破産者について係属する下記破産事件の破産手続において現時点までに組成された財団の規模に照らして、同破産事件において債権届出をした全債権者(とくに金銭債権たる破産債権を有する債権者各自)が当該破産手続においてすでに得ていると見込まれる利益を確保する措置が、再生手続開始決定前(破産手続中止前)になされていることを前提とする。」
なお、裁判所が再生手続を開始するか否かについてはまだ決定されておらず、今後、この調査報告書に基づいて判断することになります。もっとも、この調査報告書において、調査委員が条件付きであるとはいえ、MTGOXについて民事再生法25条2号ないし4号に掲げる事由(再生手続の棄却事由)がないと述べていることから、我々としては、裁判所が、MTGOXが自らの破産手続における破産債権者の利益を確保する措置をとることを条件に、再生手続の開始決定をすることを期待しています。当職らは、調査報告書に書かれた「破産債権者の利益を確保する措置」についての情報を有していませんが、情報を得次第、皆様にお伝えしたいと考えています。
調査委員による調査報告書の提出期限である2月28日が近付いてきています。
当職らは、昨年11月24日に民事再生手続開始の申立てを行って以降、破産管財人、調査委員及び裁判所と複数回面談し、当職らの意見を伝え、理論的な問題点について調査し情報を提供するなど、再生手続が開始されるための様々な準備活動を行ってきました。
こうした活動のなかで、当職らが現在把握している、再生手続開始にあたって問題となる論点について、以下説明します。いずれの論点も先例のない論点ではありますが、当職らとしては、いずれの論点も解決可能で、再生手続開始のための障害にはならないと考えています。
(1) 再生手続開始の条件
再生手続が開始されるための条件は、民事再生法25条に規定されています。
民事再生法25条は、再生手続の開始が相当でない4つの場面(1号から4号)を定め、この4つの場面に該当しない限りは、裁判所が再生手続を開始することを定めています。
本件では、この4つの場面のうち、以下の2つが問題となります。
本件の再生手続開始の申立てが、上記の2号又は3号の場面に当たると判断されると、申立ては棄却され、再生手続は開始しないことになります。しかし、当職らは、以下のとおり、本件は上記の2号又は3号の場面のいずれにも当たらず、再生手続を開始すべき事案であると考えています。
(2) 民事再生法25条2号について
民事再生法25条2号は、再生手続よりも前に破産手続が係属している場合に、破産手続のほうが債権者の一般の利益に適合する場合は、再生手続は開始されないと規定しています。そこで、本件では、Mt.Goxについて、再生手続よりも現在係属している破産手続のほうが、「債権者の一般の利益に適合する」といえるかどうかが問題になります。
「債権者の一般の利益」とは、「一般の」とあるように、個々の債権者や特定のグループの債権者を対象とするのではなく、債権者全体にとって利益となるかどうかで判断されます。
本件の破産手続では、BTC引渡請求権が破産手続開始決定時における評価額で金銭化されてしまうため、破産債権者に配当を終えた後の残余財産がある場合は、その残余財産はMt.Goxの株主に分配されてしまいます。株主への分配額は、BTCの取引価格を再生手続開始申立ての直前(2016年11月21日時点)の916,762円/BTCとして仮に計算すると、約1600億円となります。これに対し、再生手続が開始されれば、この約1600億円は債権者に分配されることになるため、債権者全体として約1600億円の経済的利益が得られることになります。この結果からすれば、破産手続よりも再生手続のほうが債権者全体の利益に適合し、本件が民事再生法25条2号の場面に当たらないことは明らかです。
(3) 民事再生法25条3号について
民事再生法25条3号は、再生計画案の作成、その債権者集会における可決、裁判所による認可のいずれかについて、その見込みがないことが「明らか」な場合には、再生手続は開始されないと定めます。見込みがないことが「明らか」であるとして、3号に該当するレベルとしては、再生計画案の作成等の見込みがないことが、疑う余地もないほどはっきりとしている、極めて例外的な場合に限定されるべきと考えられています。
本件では、どのような内容の再生計画案が作成されるかは今後の課題ですが、現時点において、疑う余地もないほど明確に、再生計画案が作成できない、債権者集会での可決が得られない、裁判所からの認可が得られないと判断できる事情はありません。そうである以上、本件は民事再生法25条3号に該当せず、再生手続が開始されるべき案件であるといえます。
以上となりますが、当職らは、倒産法の分野で非常に高名な法学者から、当職らの意見を裏付ける意見書を取得し、既に関係者に提出しています。
これまでの活動が成功し、再生手続が開始されることを当職らは強く期待しています。
Mt.Goxの一部の債権者が、2018年2月19日、東京地方裁判所に対し、Mt.Goxの破産管財人に対して、約20万BTCの返還を求める訴えを提起したとのニュースが報道されています。
報道によると、Mt.Goxが管理していたビットコインは信託財産であり、仮に所有権が認められないとしてもこれを取り戻すことが出来ると主張されているとのことですが、仮にそうであれば、これまでに提起されてきた訴訟と同じく、BTCの返還を請求する訴訟に変わりはありません。
現在、当職らは、東京地方裁判所に対し、Mt.Goxの民事再生手続開始の申立てを行い、再生手続開始決定に向け様々な準備活動を行っておりますが、今回提起された訴訟は当職らの活動に対して影響を持つものではなく、当職らと致しましては引き続き再生手続開始決定に向け活動を続けていく所存です。
また、当職らは、今後、Mt.Goxに関する報道だけでなく、再生手続の開始に向けた様々な情報を随時掲載していくつもりです。
Mt.Goxの民事再生手続開始の申立てに伴い発令された調査命令の内容は以下の通りです。
1 Mt.Goxについて調査委員による調査を命じる
2 調査委員として、弁護士伊藤尚を選任する
3 調査委員は、民事再生法25条2号から4号までに掲げる事由の有無について調査し、その結果を平成30年2月28日までに書面で提出しなければならない
2017年11月30日
当職らは、2017年11月24日、現在破産手続中の株式会社MTGOX(「Mt.Gox」)について、一部の債権者を代理して、東京地方裁判所(「東京地裁」)に対し民事再生手続開始の申立てを行いました。これに対し、東京地裁は、民事再生手続を開始すべきかどうか判断するため、同日に調査命令を発令して、調査委員を選任しました。
今後、調査委員が、民事再生手続を行うべきかどうかを調査し、その調査結果を踏まえて、東京地裁が民事再生手続を開始するか否かを判断することになります。
破産手続中であるMt.Goxに対し、当職らは、当職らが代理した債権者に代わって、民事再生手続の開始を申立てた理由についてご説明します。
今年1年でビットコインの取引価格は大幅に上昇し、多くの債権者の方は、「Mt.Goxは破たんしたけれども価格上昇の恩恵を受けることができる。」と期待されたことかと思います。しかし、今年の9月27日に開催された第9回債権者集会における管財人の発言は、ビットコイン債権者のそのような期待を打ち砕く、あまりにも衝撃的な内容でした。
管財人は、「ビットコイン債権者のビットコイン返還請求権の評価は、破産開始決定時の価格で評価する」と発言したのです。
約3年前の破産開始決定時(2014年4月24日)のビットコインの価格はわずか483米ドル(約5万円)でした。これは、現在の価格の約20分の1です。この発言が意味するところは、例えば、Mt.Goxに対し1ビットコインを持っていた人は、483米ドル(約5万円)の破産債権しか持っていないことになるので、483米ドル(約5万円)を配当すれば100%配当したことになり、それ以上の配当はされないということなのです。つまり、債権者は、ビットコインの価格が1万米ドル(約100万円)になっても、1ビットコインあたり最大でも483米ドル(約5万円)の配当しか受けることができません。
そして、さらに衝撃的であったのは、管財人が、「破産債権に対して100%配当となった場合、残余の財産についてはMt.Goxの株主に分配することになると考えている。」と発言したことでした。
Mt.Goxの負債総額は、ビットコインを破産開始決定時の評価の483米ドル(約5万円)で計算すると、約4億6,000万米ドル(約460億円)となります。一方、Mt.Goxの資産を、ビットコインとビットコインキャッシュの現在の価格(価格変動があるので、ビットコインの価格を仮に1万米ドル、ビットコインキャッシュの価格を1,500米ドルとします)で計算すると、預金と合わせてMt.Goxの資産総額は約23億米ドル(約2,550億円)となります。したがって、その差額である約18億4,000万米ドル(約2,000億円)が、Mt.Goxの株主に分配されることになります。
では、Mt.Goxの株主は誰なのでしょうか。
Mt.Goxの株式の88%は、カルプレス氏が100%の株主である株式会社TIBANNEが保有しています。つまり、Mt.Goxの実質的な大株主はカルプレス氏であり、Mt.Goxの破たんについて経営責任を負うべきカルプレス氏が、16億1,900万米ドル(約1,800億円)の分配を受けることになるのです。
ビットコイン債権者の皆様は、このような結果を許容することができるのでしょうか?ビットコイン債権者の犠牲の下に、Mt.Goxの破たんについて経営責任を負うべきカルプレス氏に巨額の財産が分配されることは、不正義であると言わざるを得ません。
しかし、我々が日本の破産法を調査したところ、破産手続による限り、このような結果となってしまう可能性が高いことが分かりました。そこで、我々は、このような不当な結果を防ぐため、色々な方法を比較・検討した結果、民事再生手続に移行することが最善であるという結論に達しました。
では、なぜ民事再生手続なのでしょうか?
まず、破産手続から民事再生手続に移行した場合、1ビットコインあたり483米ドル(約5万円)という上限が適用されなくなります。この結果、民事再生手続に移行することによって、カルプレス氏らに多額の残余財産が分配されるという極めて不正義な事態を防ぐことが可能となります。
また、破産手続では現金での配当しか認められていませんが、民事再生手続では、ビットコイン債権者に対してビットコインで配当することを再生計画に定め、これを実行することも可能になります。
さらには、ビットコイン債権者に対して、分裂したビットコインキャッシュを分配することも可能となります。この方が配当の受け取りも簡単ですし、取引コストも小さくて済みます。
そもそも、ビットコイン債権者は、Mt.Goxに対してビットコイン返還請求権を持っていたのですから、「ビットコインに対してはビットコインとビットコインキャッシュで配当する」ことが取引の実体にあった解決であるといえます。
以上が、我々が、民事再生手続を申立てた理由です。
前述のとおり、今後、調査委員による調査結果を踏まえて、東京地裁が民事再生手続を開始するか否かを判断することになりますので、現在は、Mt.Goxの破産手続が民事再生手続に移行するか否かの調査をしている段階です。
Mt.Goxの民事再生手続開始の申立ての進行状況については、本ウェブサイトで適宜開示して参ります。
我々は、今後も引き続き、民事再生手続が開始されるように尽力していきます。
民事再生手続が開始されるようにするため、債権者の皆様にご協力をお願いすることもあるかと思いますが、その際には何卒よろしくお願い申し上げます。倒産手続は債権者のための手続きですので、多くの債権者の方が、民事再生手続への移行に賛同していることは、民事再生手続の開始が認められる有利な事情となります。お願いするご協力の具体的内容につきましては検討中です。
民事再生手続開始を申立てた我々に対して、ご質問やご要望を伝えたいという債権者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、本件については多数の債権者の方がいらっしゃることや、我々も限られた人的リソースで業務を遂行していることから、個別のお問い合わせには対応することはできません。また、我々は、依頼者ではない方に対して法的アドバイスをすることはできません。法的アドバイスについては、皆様の弁護士にお尋ねください。なお、本ウェブサイトは法的アドバイスを提供するものではないことをご了承ください。
我々は、債権者の皆様が関心を持つと思われる事項について、本ウェブサイトを通じて情報を発信していく予定です。
西村あさひ法律事務所
弁護士 福岡 真之介
同 菅野 百 合